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【特別対談】「非認知能力と大人の学び直し」九州産業大学 聞間理教授 x 株式会社OnLine 白石慶次

更新日 2023.12.7

株式会社OnLineは2023年6月1日より九州産業大学商学部聞間研究室と産学連携プロジェクトを開始いたしました。今回の対談では、そのプロジェクトに至った背景から今後の展望を語ります。“大人の学び直し”において、どのように非認知能力が関係していくのか?についてこの動画を通してご理解いただければと思います。

産学連携の成果として、九州産業大学の「KSU VISION DAY 2023 文×理×芸=展」に出展させていただきました。当日の様子はこちらからご覧ください。

1.産学連携を始めた理由

白石 なぜ産学連携をやっていきたいと私の方が思ったかといいますと、弊社が提供してるリカレントビジネス・カレッジというビジネススクールがあるんですけども、その中ではメインでコーチングビジネスをスタートさせて自分の力で収入を上げていきましょうといった講座を提供させていただいています。成果として自分の力で稼げるようになるというのは当たり前なんですけれども、それ以外の部分である人生のありとあらゆる側面においていい変化が起きていたんですね。例えば、夫婦関係が破綻状態みたいな状況から一転して、夫婦関係がものすごく良くなったとか、親子関係で会話が全くできないような関係性の中からまた親密な親子関係を取り戻すことができたとか。そういった主に人間関係の変化が起きていたんですね。

明らかに、これは我々が呼んでいる“非認知能力”と呼ばれる数値化できない能力が高まっているんだろうなという予測をすることができました。しかしながら、それが実際に高まっていますということを可視化して証明することができなかったので大学教授の力をお借りして講座の有用性を証明していただいたりとか、もしくは非認知能力を見える化するアセスメントツールを一緒に開発できないかという形で協力をお願いしました。

アセスメントツールに関する情報はこちら。ご興味ある方はこちらのページをご覧ください。https://assessment.recurrent-edu.info/index/

2.今回のプロジェクトを承諾した理由

白石 今回、弊社の提案をさせていただいてこの産学連携を快く引き受けていただいたと思うんですけれども、なぜ受けてみようかなというふうに思っていただけたのか教えていただけますか?

聞間 率直なところで言いますと、白石社長の熱意これが非常に大きかったですね。非認知能力ってまだまだ研究途上でどういうふうにそれを測っていったらいいのかっていうのは世界中のいろんな研究者がまだチャレンジしている途中なので簡単な課題ではないというのは分かっています。でも、お話の中でそういうものを可視化していくことがOnLineさんの受講生の将来のためになっていくっていうことも感じられたので、そういう方々のお力になるというところも非常に私としては大事だろうなと思って協力を申し出て今に至るという形になっています。

3.会社組織とリカレント教育の関係性

白石 聞間先生のご専門は組織論?

聞間 はい、そうです。

白石 ただ、リカレント教育というものに関しても、すごく関心がおありで研究されているというふうにお伺いしたんですけども、なぜ、リカレント教育というものに興味を持たれているのでしょうか?

聞間 組織論の世界でも以前から、「今の世の中がどんどん変わってきて環境の変化というのはどんどん起こってくる。それに合わせて組織も変わっていくんだ」ということは当然のように語られてきましたし、それについていくっていうことも大事だと思ったんです。現実ですね、“リカレント”っていうのは本当に多くの方々がこの環境の変化に合わせてどんどん変わっていかなきゃいけない。

今までだったら、OJTである程度、組織・会社内でも少し変わった仕事をしてもついていけたのがもっと大きなアップデートが必要になってきたからこそ、リカレントというふうに言われているとうところで、私達の大学で学んでいる学生もこれからまさに、大学を出ていった後すぐにリカレントに晒されてもおかしくないような状態にあります。リカレントはただ単に能力をつけるだけではなくて、新しい変化に直面して非常に恐怖感を持ったりとか新しい変化に本当についていけるんだろうかという心配、また新しいことを学んでいく中での達成感とかこういうプラスの部分も含めて、いろいろなメンタル・感情の部分でもすごくいろんなことが起こってくると思うんですよね。そういうところというのは私としてもまだまだ十分に分かっていないところで、組織の中に生きている人たちの感情の変化とか変化に対する抵抗感は、これからそれを本当に乗り越えていくためにどうしたらいいのかっていうのはまだまだこれからの課題の一つだと思っています。ですので、リカレント教育っていうものに対して、もっと私自身も自分の蓄積というか理解を深めていくっていうことを今大事だと思っているというところですね。

白石 私の場合はですね、“就職氷河期世代”ど真ん中でありまして、政府からは“人生再設計世代”という不名誉な名前をつけられている世代で(笑)いざ、社会の中に出たときに終身雇用というはしごがガサっと外されまして、「これからは自己責任の時代です」というふうに言われて、ただ身を委ねて会社に任せていたら何とかなっていた時代じゃ急になくなったという実感がすごくあったんですね。20代の時にすごく焦って、「何か勉強しないといけない。でも、何にしたらいいのか分からない。でも、仕事はあるから一生懸命やってる。でも、この仕事を一生懸命やる先に何か自分の理想の人生みたいのがあるんだろうか。」みたいな漠然とした不安がすごくあってすごく困ったという経験があったんですね。

4.これからの教育現場に求められる課題とは?

白石 教育の中で今でも実社会生きていくための教育ってやっぱり十分ではないっていう感じなんでしょうか?

聞間 大学も含めて、多くの教育現場がまだまだ何か常にある程度確立された知識をとにかく覚えて、ある程度それを使えるようになっていくということを中心にやっている。それは大学で学んでいるその直前の時にはそれでOKかもしれないんですけど変化が起こってくると、大学で学んだことがすぐ陳腐化してしまう危険があります。勿論学問なので、長い時間をかけてもあまり変わらないようなことも教えていくことはできるんですけれどもやはり、変わっていかなきゃいけない場面もたくさんあってそうなると、大学で本当につけさせるべきは、“新しいものを学んでいく力”卒業後も学び続けることができる、そのベースになるような能力っていうものが今、大学はやらなきゃいけないというステージにあるのかなというふうに感じてます。

5.アイデンティティを明確にすることの重要性

白石 先生は常々、これからの時代に大事になってくる重要な能力・概念は、“アイデンティティを明確にしていく”ことがすごく重要だというふうにおっしゃっていると思うんですけど、その辺を少し教えていただいてもよろしいですか?

聞間 新しいものを学んでいく時に何でも新しいものをどんどん吸収できたらいいんですけども、人間なかなかそうはいかないですね。私も新しいことを学んでいく時には、やはり自分の好きなものとか、興味関心のあるものがやっぱり時間の効率もいいし一生懸命やれます。そうすると、やっぱり新しいものの中でも、自分の個性とか自分が大切にしていることとか自分が本当に興味のあることっていうのを自覚してそれに近いものを学んでいったりそれに合うような形で勉強していった方が圧倒的に効率がいいし、自分との結びつきが強くなってきます。その時にやはり自分のことを理解する。それを自分のアイデンティティを理解するというふうに表現してるんですけどそれが出発点になるんだろうなと。

白石 ありがとうございます。今、お話を伺っててどうしても会社から強制的に立てられた目標に対してはモチベーション湧かないけども自分で立てた目標に対しては当然モチベーションが違ってくるみたいな話はあると思うんですけども、多分これをご覧になっている方々の多くの方はなかなか自分の夢とか目標とかビジョンとか何がしたいのって言われても「いや、、、」みたいな方が一般的に多いんじゃないかなと思っていてクリアに明確になっている人の方が少数派なんじゃないかなと思うんですけれどもそういった夢とか目標とか自分の内側からモチベーションが湧き上がってくるようなものを設定する為にもアイデンティティを明確にするっていうのが必要ということですよね。

聞間 そうですね。

6.社会で必要となる課題設定力の鍛え方とは?

白石 学校教育は「出された問題を解いていくトレーニング」。このトレーニング自体はものすごく思考のトレーニングになるので重要ですし、社会に出ても即通用する能力で、やっぱり学力っていうのは僕はすごく大事だっていうふうに思っているし学歴も大事だと僕自身は思っているんですよね。ただし、社会に出てより重要になるのは、課題設定をする力。何を問題として捉えて、それをどう解いていくのかっていうそこの課題を設定する力みたいなものがものすごく重要になってくると思うんですけども、この辺って例えばどういった能力であったりとか鍛え方じゃないですけれども何かあるんでしょうか?

聞間 そういう課題設定のことを学ぶ一つ良い方法は、コーチングが非常に良いと思います。私も授業でコーチングやったりしているんですがコーチングの一番いいところって、状況の要素や情報をどんどん出していって、それを組み立てて「今、自分はこういう状況に置かれていて、こういうところが原因になって前に進めないんだな」そういうのを描いていく。それを1人で描けたらいいんだけども、そうなかなか上手くいかないのでコーチの方に手伝ってもらって自分の周りの状況を描く。その周りの状況が描けて、且つ自分自身がどうしたいかというのが見えてくるとそれが課題の解決に繋がっていくというのがコーチングの基本的な構造の一つだと思っているんですよね。だから、コーチングの中にあるものを要素分解するとまず、自分の周りの状況をきちんと整理していく力、それから2つ目に自分自身を理解する力、3つ目はその状況の様子と自分自身のアイデンティティを結びつけて折り合いをつける力、こういうところに集束していくのかなと思っています。

7.自己理解が低いと起きる問題とは?

白石 ちなみに、自分自身を理解する力が仮に低い場合だと、これからどんな問題が起きてくるとかってあるんですか?

聞間 そうですね、やっぱり自分自身のことがよく分かっていないといい目標は立てられないと思うんですよね。目標に対して自分が求めたいという気持ちもちょっと弱くなるので目標に対するコミットメントもやっぱり下がっていく。どこか他人事になっていくっていう感じが強くなってくると思うんですよね。

白石 ありがとうございます。そうですよね、何事も自分事になると手を尽くしてでも問題解決しますけれども他人事だとやっぱり壁にぶち当たったら「まあ、いいや」ってなってしまいますよね。

8.ゼミ生にインターンを勧める理由

白石 先生の学生さんは2回生で社会に出てインターンをできるだけ経験してきなさいみたいなことをお伝えされているというふうにお伺いしたんですけども、これってどんな意味があるんでしょうか?

聞間 インターンシップは社会に出ていった時に、自分がどんな働き方をしたいか?とか会社の中で自分がどう活躍できるか?というのを考える非常に良い機会になっていくんですけども最終的にはインターンシップの中の経験で自分の中で何が本当に面白いと思えて何がちょっとしんどいなって思えるかという材料を集めるすごくいい機会だと思っているんですよね。それ自体が自分のアイデンティティを少しでも考えていく。いきなり自分のアイデンティティを掴める人もいるんですけれども、やっぱり時間がかかる人もいるのでそういう時にはたくさんの体験をして振り返って自分のその時感じたものをアイデンティティの構成要素にしていくというのが必要です。できるだけ多くの学生にそういうことをやってもらうためには早いうちからそういうものをたくさん身につけていただきたいなというところで今、低学年のインターンシップやっているところがあります。

9.第三者の視点をどう取り入れていけばいいのか?

白石 弊社のリカレントビジネス・カレッジでも会社の肩書きであったりとかネームバリューとかそういったものをなしで自分の名前でコーチングビジネスに始めていただくんですけども、対価としてお金が発生することなのでど正直なフィードバックがあるんですよね。例えば、「私のコーチングプログラム30万円で買いませんか?」こんなアプローチはしないですけども、端的に言うと、そう言うアプローチをしていくわけですけども、そうしたら信頼してくれていると、自分が信じてた人から「いいえ、買いません。」みたいな本当に現実的なフィードバックがくるわけですよね。そういったフィードバックを受けて初めて、自分自身とこの人との関係性の本当の姿を見ることができたりとか「なんで、私は信頼されていると思ってたのに信頼されていない原因は自分のどこにあるのか?」とか、先ほど先生が自分自身を知っていく材料とおっしゃいましたけれども、第三者の視点が自己理解を深めていくためには必要ということですよね。

聞間 そうですね。最近ですと、そういう厳しいフィードバックをすごく嫌がる人も増えてきているような感じもしますし、私も厳しいフィードバックそんな好きじゃないですし(笑)

白石 基本、皆さん好きではないですし、私も好きではないです。(笑)

聞間 ただ、そこを材料にして自分を深掘りして自分の不得意なところをうまく掴むっていうことを怠ってしまうと結局、自分のことが分からなくなっていくっていうところになると思うんですね。だから、厳しいながらも、やっぱりそういうところの大切さをどれだけ握って少しそれに耐え得るっていうか、そういうものを自分の糧にしていける力というのは今後、必要になるように感じてますね。

白石 今おっしゃっていただいた、現実をちゃんと見て自分の力、成長に変えていく力、ここもまた何か必要なんでしょうね。それがある人たちはやっぱり伸びていきますし、そうじゃない人はただ傷ついて被害者になって終わっていくみたいなそういう傾向はもしかしたらあるかもしれないですね。

聞間 そうすると、やはり他者のフィードバックももう一方からではなくて、色々な角度から吟味する。良いこと言われてもそれを良いこととして素直にまず受け取った上で別の角度でも見ることができるっていうそういうことがフィードバックの受け取り方の能力として必要そうですね。

白石 そうですね。これからの時代は特に自己認識を高めていくというのは、選択肢が多い生き方を自由に選べる社会だからこそ必要な感じがしますね。

10.今回のプロジェクトに対する期待

聞間 今回、産学連携を始めていく上で最初のきっかけの期待とは別に発展的に先へ進んでいく中で、どういう期待がありますか?

白石 今回の産学連携で一番叶ったら嬉しいなと思うことは、“学びがカジュアルになる”ところが一番嬉しいなと思うところです。日本ってどうしても大人になったら学ばないきらいがある。もちろん全員がそうではないですけども、大学受験や就職っていうところで一区切りっていう感じがどうしてもあって、でも大人になってからの学びってすごく面白いじゃないですか。自分の仕事の成果に直結することもありますし、自分の好きな分野を勉強し放題。もちろん仕事を忙しい中でやっていきますのでいろんな制約はありますけれども、それでも大人になってから学ぶってすごく楽しいことだと僕自身は思っているんですよね。ただ、多くの人が何を学べばいいのか?そもそも学ぶ必要性みたいなものも感じられていないみたいなこれもまた多いと思いますし、どうしても私が発信すると株式会社という営利団体になってしまいますので、「営利目的なんでしょ?」ていう形で素直に言葉が伝わらないような気がしてるんですよね。そこをやっぱり先生の方からも重要なことなんですよみたいな一言あるだけでも皆さんの情報の入り方とか聞き方とか捉え方とかっていうのもすごく変わってくると思いますし、そこは個人の力、会社の力だけではやはり実現できないことだなと思ってます。もちろん(株)OnLine単体のプログラムだけじゃなくて先生と共同開発したプログラムであったりとか特に学術界では、この数年の進歩とかって物凄いいっぱいあると思いますしあるんだよってことを皆さんに伝えていきたいなっていうのがものすごくあります。
逆に先生が、今回我々に産学連携を通して実現したいことっておありですか?

聞間 まず、私が普段大学の中にいると、なかなかリアルな現場で働いている皆さんの悩みとか喜びとかというものに対してそこまでいろんなケースを知ることはできていないのでそれに近づくっていうのが大事かなと思っててそれによって自分の研究内容もより世の中に沿った形になっていきますし、そこをきっかけに学生たちにも社会に出て行った時にどういうことが今働いている方の悩みとか単なるアンケートとかのベースではなくてもっと実感を持ってお話をしてあげることができるっていうふうになったらすごく嬉しいなと思ってますね。

11.「大人の非認知能力」が大事になる時代はいつくる?

白石 最後に、お一つお聞かせいただきたいんですけれども、今“非認知能力”っていう言葉は、教育熱心なお子さんがいらっしゃる親御さんの中でどうやって子どもの非認知能力を伸ばそうかとモンテッソーリであってり、STEAM教育だったりいろいろな教育論みたいなものがある中で、どれが一番非認知能力が高まるのか?みたいな感じでお金と労力をかけてお父さんお母さんが勉強されて子どもの非認知能力を高めることに躍起になっているという状況があると思うんですけれどもそれが、「いや、大人にこそ非認知能力大事だよね」みたいな時代になっていくってどのぐらいかかるんでしょうか?

聞間 今、そうだと思います。非認知能力が一番必要になる場面って変化が起きた時だと思うんですよね。その変化って色々なレベルであって、例えばご自身が病気になるっていうこともそうだし、天候による災害もそうですけど本当にいろんなレベルでありますよね。だから、コロナにかかってた時も体調不良になって今まで通りに元気に働くことができないとなったら、そういう自分をまず受け入れてその上でどういうふうにそこに向かって対処していくかっていうようなことも非認知能力がないと多分乗り越えられないですよね。昔からそういう意味では必要な能力だし今後さらにいろんなことが日々起こっていくのでその中で、それを乗り越えていくという本当に全ての社会人に必要になってきますから、そういう意味では非認知能力を意識してそれをどう本当に鍛え上げるかというのは、我々もこれからまだ研究途上で現場とタッグを組みながら少しスピードアップして高めていけたらなと思うんですけども、今もう必要になっているというのが私の感覚ですね。

白石 それ聞けてすごく良かったなと思ってます。それでは、先生今日は貴重なお時間、本当にありがとうございました。

聞間 ありがとうございました。

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