「非認知能力」は大人も伸ばすべき? 重要性や成長させる方法を解説
近年、人生を豊かにする力として脚光を浴びてきている「非認知能力」。
非認知能力は、今まで主に幼児教育の分野で注目されていたため、非認知能力を伸ばす方法は幼児向けの内容が多いのが現状です。
しかし、非認知能力は大人になっても鍛えることは可能であり、大人だからといって非認知能力の向上を諦めるのは、もったいないことかもしれません。
非認知能力が高いことで得られるメリットについては前回の記事で紹介していますが、大人になってからはどのようにして伸ばすことができるでしょうか?
今回は、「非認知能力」の大人でもできる鍛え方や、「非認知能力」を向上させるために見直すべき3つの要素についてご紹介します。
目次
1. 「非認知能力」は大人にとっても重要? ビジネスに必要な能力
非認知能力は、大人でも向上できる能力であり、最近ではビジネスにおいても重要視されてきています。そのような非認知能力の特徴や、ビジネスでどのように役に立つのかについて見ていきましょう。
非認知能力は数字で評価できない
非認知能力は、IQや学校のテストで数値化できる認知能力とは異なる、数値化できない能力のことを言います。
2000年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者、ジェームズ・ヘックマン氏が提唱したことで広く知られました。
ヘックマン氏によると、非認知的な要素とは、「肉体的・精神的健康や、根気強さ、注意深さや意欲、自信といった社会的・情動的性質」とされています。
非認知能力は、多くのシーンにおいて「6歳までに養われる」と言われていますが、これは大人になると成長しないということではありません。
子どもと比べると成長スピードは遅くなりますが、実践さえできれば、大人でも十分非認知能力の向上は見込めます。
ビジネスの場でも必要不可欠
高学歴で将来を期待されていた新入社員でも、いざ現場に出たら実力を発揮できない・・・昨今の学歴社会ではそのような話も耳にするようになりました。
それは、コミュニケーション能力が不足していたり、仕事に対する意欲を保てないなど、何らかの形で非認知能力が大人の社会でも関係していることが多いと言えます。
非認知能力の種類には、積極性や粘り強さなどがあり、リーダーシップやモチベーションの高さに影響する能力なので、子どもの成長だけでなくビジネスの場においても必要不可欠なのです。
【参考: ジェームズ・ヘックマン: 「非認知能力の大切さ – GEDテストプログラムの講義」 (James J. Heckman: The Importance of Noncognitive Skills: Lessons from the GED Testing Program)】
2. 非認知の能力は大人でも向上できる! 必要な3つの要素
非認知能力を高めるためには、最初に自分の肉体と精神が健康であるかどうかに注目しましょう。健康な肉体と精神を持ち合わせている人間こそが非認知能力の向上のための近道になります。
社会人の基本:身体と精神の健康
非認知能力を大人が向上させたい場合、まずは身体的な健康に注目するべきでしょう。「体調を崩さない」「風邪をひかない」ためには、毎日の体調を記録して、調子が良い時や悪い時のパターンなど、自分の習性を知ることが重要です。
そして、ストレス社会と言われている現代では、精神的な健康を維持することも大切です。
過去や感情にとらわれない心を育成するマインドフルネスや、ストレスを減らす方法について知り、精神的健康も目指しましょう。
相手の気持ちを理解:社会的対応力
社会的対応力とは、コミュニケーション能力とも呼ばれますが、他者と交流したり関係を構築するための非認知能力スキルのことで大人にとっても必要です。
ただの雑談をするだけでなく、相手の言っている内容を理解し、相手の気持ちがわかった上で仕事のやりとりができる能力で、性格や価値観の異なるチームメンバーをサポートしながら一つの目標に向かわせるリーダーポジションを務める人には、必須な能力でしょう。
条件反射を止める:セルフコントロール力
非認知能力の中で大人にとって大事な要素、「セルフコントロール力」。
セルフコントロール力とは、ちょっとした誘惑に負けない思考や行動をコントロールするスキルのことで、「目標達成のために準備を怠らないこと」や「失敗しても引きずらずすぐに冷静になれること」などがあります。
セルフコントロール力は、目標をスモールステップで達成するようにしたり、達成状況を見える化することで効果的に高めることができるでしょう。
【参考:J-STAGE「非認知能力と社会的適応との縦断的関連の検証」】
3. 非認知能力を鍛えるには何から始める? 考えるよりもまず行動
非認知能力を鍛えるカギは、「行動」と「自己肯定感」です。日々の習慣から意識して取り組むことで、自分の変化に気付けるでしょう。
非認知能力を鍛える「きっかけ」作り
非認知能力が低い人は、行動する前に「失敗したらどうしよう」など心にブレーキをかけてしまうので、物事を進展させることが難しいです。
非認知能力を大人でも高めたい場合、一歩踏み出して行動してみることが成功するためのきっかけ作りになるでしょう。ブレーキをかけないようにするためには、行動する前に「何も考えない状態」にして即行動することで、「考え過ぎて行動できなくなる」のを防ぐことができます。
日々の習慣で自己肯定感を高める
「自己肯定感」を高めることで、非認知能力を大人でも格段に向上させることができます。自己肯定感が高い人は、行動量が多く、やる気に満ち溢れているため、失敗しても落ち込まず成果を出せるのです。
まずは現状を認めて自分自身と向き合い、「自分にはできない」といった後ろ向きな感情ではなく、「やってみればできるかも」というような肯定的な感情を大事にして、日々の習慣から自己肯定感を高めていきましょう。
4. 今すぐ実践できる!非認知能力を鍛える3つの方法
大人になっても、鍛えて伸ばす「非認知能力」があります。その能力を伸ばすために3つの方法をご紹介します。
問題解決力の強化
複雑な問題に対して論理的なアプローチを取る
問題を解決するには、問題を分析し要素を整理するスキルが必要です。問題の要因や関係性を把握し、問題の本質を明確にする必要があります。さらに、問題を分解して小さな部分に分け、それぞれの要素を詳細に検討することが重要です。論理的思考を駆使して、問題を解決するための効果的な戦略や手順を考えることが求められます。
問題解決に関する本やコースを学ぶ
書籍やオンラインコースは、さまざまな問題解決手法やフレームワークについて深く学ぶ機会を提供してくれます。具体的なケーススタディや成功事例を学ぶことで、実際の問題にどのようにアプローチするかについての洞察を得ることができます。さらに、問題解決に関する専門家や実践者からの指導やフィードバックも受けることができます。
チームでのプロジェクトやグループディスカッションに参加する
他のメンバーと協力して問題を解決する場では、さまざまな視点やアイデアが出されます。自分の考えを共有し、他のメンバーと意見を交換することで、より広範で創造的な解決策が見つかるかもしれません。また、グループディスカッションでは、異なる意見や観点に対して柔軟に対応する能力も求められます。他のメンバーのアイデアや提案を受け入れ、それを基に議論や協力を進めることで、より包括的で効果的な問題解決が可能となります。
自己管理のスキルを向上
目標設定を行い、計画的にタスクを管理する
具体的な目標を設定し、それを達成するための計画を立てることで、自身の進捗を追跡しやすくなります。目標を達成するためには、タスクを優先順位付けし、締め切りを設定する必要があります。タスクを効果的に管理するためには、タスクリストやカレンダーなどのツールを活用すると良いでしょう。
時間管理技術を学び、効果的なスケジュールを作成する
効果的なスケジュールを作成し、時間を効率的に活用することで、タスクの達成に集中できます。時間管理のためのテクニックとしては、優先順位の付け方や時間のブロック化、デッドラインの設定などがあります。また、時間の浪費を減らすために、集中力を高める方法(例:デジタルデトックス、時間管理アプリの利用)も有効です。
ストレス管理や自己モチベーションのテクニックを習得する
ストレスは自己管理に悪影響を及ぼし、モチベーションの低下や生産性の減退を招く可能性があります。ストレス管理のためには、リラクゼーションテクニック(例:深呼吸、瞑想)やストレス解消の趣味・活動(例:運動、音楽、読書)を取り入れることが役立ちます。また、自己モチベーションを維持するためには、目標に対する明確なビジョンやインスピレーションを持ち、自分自身を励まし続けることが重要です。自己啓発の本やポジティブな言葉に触れることで、モチベーションを高めることができます。
創造性の発展
新しい趣味やアート形式に挑戦する
新しい趣味を始めることで、新しい視点やアイデアを得る機会が広がります。例えば、絵画、音楽、写真、料理、手芸など、自分に興味のある分野に挑戦してみましょう。新しい経験やスキルを身につけることで、創造性を刺激し、新たなアイデアの源泉となることがあります。
ブレインストーミングやマインドマップなどの創造的な手法を学ぶ
ブレインストーミングは、アイデアを自由に出し合い、多様な視点から新たな解決策やアプローチを見つける手法です。マインドマップは、アイデアや情報を視覚的に整理し、関連性や新たなつながりを発見するための手法です。これらの手法を学ぶことで、創造的な思考を促進し、アイデアの幅を広げることができます。
クリエイティブな活動やプロジェクトに参加する
クリエイティブなチームやコミュニティに参加し、アイデアの共有や交流を行います。クリエイティブなプロジェクトに関与することで、自身の創造性を発揮し、実践的な経験を積むことができます。また、クリエイティブなイベントやワークショップに参加することもおすすめです。他の創造的な人々との交流や学びの場として、新たなアイデアの源泉を見つけることができます。
まとめ
ここでは、非認知能力を大人でも向上させる理由や、鍛え方のポイントについてご紹介しました。非認知能力は、行動・実践することで大人でも向上できるのです。
まず自分の身体的・精神的健康について見直すことから始め、自己肯定感を高めることで行動できるようになり、セルフコントロール力やコミュニケーション能力も自然と身についていくでしょう。
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