レゴ®シリアスプレイ®って何するの?認定ファシリテーターに聞いてみた!
弊社のCLO(最高人材・組織開発責任者)野原宏昭が、レゴ®シリアスプレイ®の認定ファシリテーターになりました。そこで、レゴ®シリアスプレイ®とは何をするのか?その実態をインタビューしました。
・なぜ、レゴブロックを使うのでしょうか?
まず1つ目の理由がコンストラクショニズム理論という考え方です。これはシーモア・パパート教授の理論なんですが、人は手で物を作って動かすことによって脳が活性化されると言われています。なので、手を動かしながら考えることで、より潜在的なものが表に出てくるんですよね。
手は80%くらいが脳と繋がっていると言われていますし、言葉だけでやり取りするよりも手を使った方が脳が活性化する、という意味でもレゴブロックを使っています。
あとは、レゴ®シリアスプレイ®では共感と共創(きょうそう)の技術と呼んでいるんですが、目の前にできあがった1つの作品をみんなで見ながらワークを進めていくので、共通認識がとてもしやすいんです。
例えば、1人の人が友情をイメージした作品を作ったとすると、その人の考えている友情はこういうイメージなんだというのが視覚的にわかりますよね。
仮に、その作品の中に赤いレゴブロックがあったとして、その赤いブロックの意味を聞いてみると、「友情の底には熱い思いがあるはずだ」と思っている、などが分かりやすいんです。

言葉でやり取りすると、海のことを日本海みたいなザッパーンっていう荒波をイメージする人もいれば、ハワイの穏やかな波をイメージする人もいます。
でもそれって普段は確認し合わないじゃないですか。会話が終わってみて、なんかズレてたな、、みたいなこともある。でもレゴの作品のように目の前に形があると共通認識しやすいし、コミュニケーションもより活発になる。だからこそ、お互いにより深いところまで安心して話ができるっていうのが2つ目ですね。
他にも、このレゴ®シリアスプレイ®のルール、ルール(エチケットって呼んでるんですが)があって。。
例えば会議で声の大きな人がいたら、あの人が言うなら自分は発言するのやめよう、みたいな人も出てきますよね。他にも、私には関係ないから発言するのをやめようという人もいるかもしれません。
ですが、会議でレゴ®シリアスプレイ®を取り入れると、その場に参加している人全員が作品を作って、1人ずつ必ず作品の説明をするんです。それも人の顔を見てしゃべるんじゃなくて、作品を見ながらしゃべるんですよ。
だからちゃんと全員が自分の考えを出すことができますし、結構みんな真剣に聞くんですよね。これもレゴ®シリアスプレイ®の1つのポイントかなと思います。
レゴじゃなくても、自由に描けるという点で絵でもよくないですか?ーーーーーー
僕も初めはそう思っていたんですが、絵だとどうしても上手い下手があるじゃないですか。でもレゴブロックだとそういうのがありません。モデルがあれば、基本的に誰が作っても同じものができあがります。そこに上手い下手はありません。ブロックは形も決まっていて、ある意味制限されているっていうこともレゴ®シリアスプレイ®のよさなのかもしれませんね。

レゴ®シリアスプレイ®で期待できる効果はどういったものでしょうか?
やっぱり自分でも気づいていない、潜在的にあるものをみんなで引き出し合えることだと思います。作ってる最中に自分でこういう思いがあったんだなって気づくこともあるし、仲間との質問のやり取りで気づかされることもあります。
例えば、全員で同じ作品を作った後にお題が与えられることもあるんです。そして、その作品を通してあなたのやる気スイッチを説明してくださいとか、あなたの長所を説明してみてくださいというふうに。
そうなると、作った作品の中から自分のやる気スイッチを探さないといけないので、作品を通して自分の内面を見つめる作業になります。そこで新しい発見や気付きがあったりもするんです。
他にも、仮に人形の下にはしごのある作品を作ったとして、「人形の下にはしごがありますが、何か意味はありますか?」と聞かれたら、何か理由を考えますよね。「今仕事で課題に取り組んでいる最中です」とか。仮に言ってからやっぱり違うかも、、と思うこともありますが、まったく思ってないものはあまり出てこないですね。その作品を作ったのは紛れもなく自分自身ですので。
それと、他の人の作った作品との比較で改めて「自分はここを強く思ってたんだな」などがわかるのも効果の一つです。レゴの作品って言い訳が効かないみたいなところもあるかなと思います。もう形として出てきてしまっていますし、作ったのは自分自身ですし。本当にレゴは潜在的なものを表現してくれるんだなと思います。
もしできあがったものがやっぱり違うなと思ったら、なんで違うんだろうとか、でも最初はなんで出たんだろうとか考えてみるのもいいかもしれません。

どういうふうに進めていくのでしょうか?
基本的な流れが決まっています。テーマやお題を確認して、それに対して作品を1人で黙々と作る。そしてその作品を見ながら、みんなに自分の作った作品について説明します。例えばテーマが「仕事で大切にしていること」だったら、「このパーツは、一人で仕事をやりとげるというよりも、仲間と仕事をする大切さを表現しています」という感じです。テーマに応じて作品を見ながら説明して、それに対して質問を受けます。説明した部分を深掘りしたり、説明されなかった部分や作品そのものについて質問します。その質問に答えるというやり取りを通して、自分の内面に気づいていくというのが一連の流れです。
レゴ®シリアスプレイ®には7段階のテクニックがあるんですが、今説明したのは最初のステップです。それが基本になっていて、ステップ7まであるから本当に奥が深いんです。
僕自身としては、この最初のステップでも十分だと思っています。2つ目以降は、どちらかというリアルの場でみんなで集まって、作品を動かしながら、作品同士の距離を取ったり離したりして進めていきます。作品どうしを繋ぐパーツとかもあるので、繋いでみて何が起きたかとか、片方をグラグラさせると反対側もグラグラするんですが、ここからさまざまなアイディアを出していきます。それはそれですごく面白いんですが、Webでは物理的に繋げないのでリアルじゃないとできません。そうなると展開の仕方が制限されるので、この最初のステップだけでも十分に活用できるんじゃないかなと思いますね。

具体的にどういった変化が起きると期待できますか?
これは変化とはちょっと違うかもしれませんが、純粋にやることが楽しいっていうのがおそらく最初に出てきますね。あとは、講座の受講生が早速アウトプットしてくれてるんですが、やっぱり自分では気づけなかったものに気づかされることが1番大きいんじゃないかなと思います。新しい気づきがあったり、自分自身への理解が深まったり、自分ってこんなふうに考えてたんだって知れるとかですね。
また、今回の講座とは関係ないんですが、ミーティングの場などでもレゴ®シリアスプレイ®だとその場にいる全員の考えを取り入れることができるんですよね。多くのミーティングでは、例えば自分の考えを言えなかったとかあるかもしれないんですが、レゴ®シリアスプレイ®は作品として表現するので、とにかく作品を通して全部語らせることができます。方法によってももちろん変わってくるんですが、全員の考えを取り入れた上で、次はこうやっていきましょうって決めることができるんですよね。それができれば、決まったことへのコミット具合も変わってくると思います。
ちょっと表現するのが難しいんですが、言葉だけのやりとりだと伝えきれない考えや思いがあったり、その場で出せなかったアイデアなどもあります。でもレゴ®シリアスプレイ®ではそれをできるだけ防ぐことができるんです。
例えば、「ひとりひとりが大切にしていることを取り入れて仕事を進めていくにはどうしたらいいか?」というテーマで話をするとして、まずは自分が大事にしてるものを作品として作ります。そして、みんなが作ったあとに、もちろん全員の大切にしていること全てを取り入れることはできないので、「ここは絶対に譲れない!」というものを決めて、自分の作品から抜き出します。それをみんなで出し合って、一つの作品にしていきます。そして出来上がった作品を見て、ひとりひとりの大切にしていることをみんなで確認しながら、ストーリーを組み立てていきます。そんなことをやっていったら、もうみんながそこに参加してるから、「じゃあこれで何かやっていこう」となったときに「いや、自分関係ないんで」とはなれないんですよね。自分の思いも作品に入っちゃってるので。
また、意見の違うAさんとBさんがいたとき、話し合いの結果どうなっていくかって言うと、多くの場合、お互いが妥協点を探しにいったりどちらかの意見に合わせたりすることが多いですよね。でもレゴ®シリアスプレイ®を使うと、2人の意見を取り入れて、さらに今までの考えになかったようなものも含めて、より大きなアイデアを目指すことができるようになるんです。これができるのがレゴ®シリアスプレイ®じゃないかなって思っています。
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