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Recurrent Education

リカレント教育企画:コロナ時代の生存戦略 その③

加速する問題と対策「エンタメ中毒」

エンタメに浸食される自己研鑽の時間

これから世界中で大きな問題となってくるのが「エンタメ中毒」という問題です。

皆さんのスマートフォンの中にはエンターテインメントが集約されています。手のひらに非常にハイクオリティーなゲームや動画コンテンツなど、無料で手軽に、一時的な快楽が手に入るわけです。これが大きな問題になると考えています。

仕事をしていれば誰だって辛いことがあったり、苦しい時もあると思います。そんな時、手軽なエンターテインメントに浸ってしまうと、楽しいので、痛みを忘れることができますよね。人は痛みと快楽を同時に感じることはできないので、エンターテインメントに浸っている間は仕事や人生の辛いことを忘れることができるんです。そうすると、どんどんエンターテインメントに依存してしまう状況が発生してしまいます。これを私は「エンタメ中毒」と呼んでいます。

このようなエンターテインメントに消費してしまう時間と引き換えに、失っているものもあります。それは学ぶことであったり技術を高めるための時間、自己研鑽に使う時間です。手軽なエンターテインメントがなければ本来仕事の成果を上げるために、困難や苦境を乗り越えるために利用したり努力したりすることができる時間をエンターテインメントの方に奪われてしまいますので、日本人の能力はどんどん下がってしまうわけです。そして生産性も下がってしまうのです。その反対に、有能な人はスマートフォンを活用し自分のスキルをより高めることに利用できるので、さらに有能になっていきます。こうやって、益々人材の二極化が進んでいきます。

そして良いところでもあり悪いところでもあるのですが、スマートフォンで見る情報はパーソナライズされてしまいますよね。「その人のスマホを見れば、その人の価値観、考え方、世界など全てがわかる」と言われるくらい、スマートフォン一つの中に、その人の全てが入っていると言っても過言ではない状況があります。自分の興味関心のある欲しい情報が沢山入ってくることは良いのですが、反対に興味関心のない分野やテーマの情報は非常に入りづらくなってしまいます。インターネットの普及によって、自分は世界と繋がっているはずなのに、どんどん世界が広がるのではなく、狭まってしまうような人達が増えてしまう。こういったことがこれから益々起こってきます。

エンターテインメントがダメだというわけではありません。ただ無自覚に、無意識に習慣化してしまうため、そういう状態になってしまうと抜け出しづらいのです。エンターテインメントは素晴らしいものですので、自分の役に立つように活用できていれば良いのです。エンターテインメントやスマートフォンにコントロールされる状態にいるのが非常にまずいと考えています。

セルフマネジメントとエンタメの拮抗

この状況を回避するためには、自分をコントロールし、自分が何にどれだけ時間を費やしているのかに自覚的になる セルフマネジメントという高度な考え方と技術が必要です。これからの時代はセルフマネジメントとストレスマネジメントの技術が必須となってくるだろうと考えています。

セルフマネジメントとは、自分が何を選択してどんな行動をとっているのかということに自覚的になり、その行動をコントロールする技術です。人は頭の中で優先順位を決めているつもりであっても実際の自分の優先順位を見るには自分の行動を見てみるのが一番です。実際に自分の行動で時間をかけている順番が実際の優先順位だからですね。例えば、スマートフォンでエンターテインメントを見ている時間を調べると、その優先順位が自覚できると思います。自分が考えていた通りに行動できているかどうか、それをコントロールするのがセルフマネジメントの考え方です。

ストレスマネジメントはこれからの時代に重要なスキルの1つです。それはセルフマネジメントの一環でもあります。まずは自分にどれくらいストレスがかかっているのかを自覚することです。そしてストレスが溜まった時に適切にストレスをリリースする行動をとることが大切です。

そもそもストレスが生じる原因は3つ上げられます。1、コントロールできないことをコントロールしようとする。2、やりたくないことを嫌々やる。3、 人間関係。

ストレスの根源を自分以外の何かに、自分の外に置いてしまうと、ストレスをコントロールすることができなくなります。そうではなくて「ストレスを発生させているのは自分の責任だ」と、少し厳しい考え方ではありますが、それすらも自己責任である、というように考え方を変えることが出来れば、ストレスの発生を抑えることができる第一歩となります。例えば、職場の誰かと嫌な人間関係であったとしても、その仕事を選んでいるのは私であり、その嫌な人と仕事せざるおえない状況を作っているのも自分なんだ、と捉えてみるのです。厳しくても、そういった捉え方をすることで、自分が変えることができる部分を見つけることができるようになります。例えばそこから抜け出すための努力をすればいいのです。そうすることで自分の中に新たな目標というのが芽生えます。それに対して努力していくことで、仮に実際には目標通りになれなかったとしても、自分の意識がストレスの元凶にフォーカスするのではなく、自分自身が何をすればいいのかにフォーカスを向けることができるので、かなりストレスの発生を抑えることができるのです。

このように様々な物事に対して、原因が自分の外にあると捉えるのではなく、自分自身にあると考え、自分を責めるのではなく自分がやるべきことを明確にしていく。そうやって淡々と明確にした行動を取ることに集中するとストレスの発生を抑えることができます。

こういった考え方が出来ないと、これから先の時代はキツイのではないかなと考えています。

(続く)

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