リカレント教育企画:コロナ時代の生存戦略 その②
働き方改革のズレ
仕事を好きになれば働くことも楽しくなる
日本人は労働時間の割には生産性が低く、仕事をすることでメンタル不調になってしまうなどの問題に対処するために、国が行っているものが働き方改革です。
しかしながら、この働き方改革の前提がズレてしまっていると感じているんです。
2つの前提がズレてしまっているなと感じています。
1つ目が
『仕事が忙しいからストレスが溜まって、メンタル不調を起こすんだ』という前提。
『長時間労働だからストレスが溜まる、短時間労働はストレスが溜まらない。』
もちろん、この相対関係もゼロではないと思うのですが、そこまで明確なデータは出ていません。
仕事に対するやりがいや充実感を感じている人であれば、たとえ長時間働いていたとしても、それが原因でメンタル不調に繋がるとは限りませんし、データ上でもその証拠となるようなものはありません。
重要なのは仕事に対する姿勢と考え方なんです。
一番わかりやすいのは、仕事をしていて楽しいかどうかというです。
どんな仕事であっても楽しめる自分であれば、どれだけ働いたとしてもメンタル不調は起きにくい。それはわかっているわけです。
ワークライフバランスという言葉がありますが、これもよくない前提があるように思います。ライフ=リフレッシュで素晴らしいもの、という前提を持つ社会的な風潮があるのではないでしょうか?
メディアでは『仕事=ストレスが溜まるもの』のように取り上げ、『だから休日はリフレッシュしましょう、オフを充実させましょう』と発信していることがあると思うんですね。
その考え方を、あまり考えない人が「やっぱり仕事は辛いんだ」という思い込みを持ってしまうので、それが結局は、充実した人生の実現においても、働き方においても、弊害になってしまっているのかなと思います。
働き方改革と自己責任の矛盾
ズレている前提のもう1つは『日本人は働き者だという風に考えてしまっていること』。70年代の日本人は先進国の中でも圧倒的に働いていたそうです。ただ2015年のデータを見ると、日本人はアメリカ人より働いていないというデータが出ているんですよね。
つまり、我々日本人はそんなに働き者ではなくて、昔長時間働いていたけれど、今の人たちは労働時間が減ったのに、生産性もあまり良くないというわけです。
働き方改革が如何にズレているか、わかっていただけたのではないかなと思います。
だから、僕としては、働きたい人はたくさん働けばいいと考えています。労働時間がポイントではないので、政策としても、残業させない、残業を規制するという考え方は間違ってると思っています。
一般のビジネスパーソンであれば、働いて、結婚してマイホームを買うといった人生設計の方が多いと思うのですが、その人生設計の中に、残業代を加味して考える人は多いはずです。多くの人にとって、家を買うことは一生に一度の大きな買い物で、ちょっと無理して、仕事を頑張ってでも、少しでも良い家を手に入れたいのではないでしょうか。こういった面においても、国が残業させないことを決めることは弊害があると考えています。
このように働き方改革によって、残業したい人が残業できなくなり、実質収入が下がってしまって、支払いに困って、住宅ローン破産に繋がってしまう、そんな悲しいことが起き始めている現状があります。
先ほども申し上げましたが、働きたい人はたくさん働いたらいいと思います。
根本的に考えれば、国は「自己責任」を謳っているにも関わらず、個人の働き方をコントロールしようとしているのが、そもそも間違っていますよね。
日本と違って、北欧の国は社会保障が充実してるイメージがあるけれど、北欧の国こそ自己責任がすごく求められて、消費税や他の税金もすごく高いのです。
税金を払える人には充実した社会保障を与えるのに対し、働かない人や働いても税金を納めない人には手厚い社会保障を受けられないといったシステムになっています。北欧は日本のように働かなくても食べていけるシステムを作らない、ちゃんとした人を大人として扱うことで、平等な社会になっています。
(続く)